2006 Fiscal Year Annual Research Report
組織における継続的なインセンティブ付与に関する理論的研究
Project/Area Number |
17730129
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関口 格 京都大学, 経済研究所, 助教授 (20314461)
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Keywords | インセンティブ / 長期的関係 / 繰り返しゲーム / 私的観測 / 複数エージェンシー / トーナメント / パートナーシップ / シェアリングルール |
Research Abstract |
「組織における情報構造デザイン問題の研究」の一環として、プレーヤーが相手の過去の行動を観測するかどうかを選ぶことができる繰り返しゲームのモデルを構築して分析した。プレーヤーが場面によっては相手の行動をわざと見ないことで、かえって協調が促進されるというやや逆説的な結果が起こりうることを例示し、結果の一般化も行った。またこの結果を、組織におけるモニタリングの設計問題に応用するため、更に検討中である。加えて「動学的な不完備契約理論の構築」の準備的作業として、メンバーが長期的関係にあるチームにおけるインセンティブ問題を考察するために、2つのフレームワークについて研究した。第一に、プリンシパルがこのチームを雇うという複数エージェンシーの想定の下、いわゆるトーナメント型契約の一変種として、ターンオーバー型契約というものを考えた。これは、トーナメントと同様に一人だけボーナスをもらうのだが、ボーナスの獲得権利はそのメンバーが大きくしくじったときのみ、他のメンバーの中で最もパフォーマンスがよかった者に移動するという形態をとる。そして、ターンオーバー型契約でほぼ効率的な生産を達成できる条件を示した。この結果は、各エージェントのパフォーマンスについてプリンシパルが手にする情報が私的情報に留まるケース(主観評価)では、元々のトーナメントを含む他のインセンティブ契約形態に比べて特に有効である。第二に、プリンシパルのいないパートナーシップ生産を仮定し、インセンティブを最も効果的に与えるシェアリングルールを導出し、チームが長期的関係にないときの最適シェアリングルールと比較した。
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