2005 Fiscal Year Annual Research Report
クレジット・スコアリングのための計量分析に関する研究
Project/Area Number |
17730146
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古澄 英男 神戸大学, 大学院経営学研究科, 助教授 (10261273)
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Keywords | ベイズ推定 / プロビットモデル / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Research Abstract |
今年度は,研究実施計画にもとづいて 1.欠損値や外れ値の削除などによるデータの整備 2.デフォルトの発生確率を分析するための計量モデルの作成 3.2で提案したモデルに対するマルコフ連鎖モンテカルロ法の開発 の三点を中心に研究を進めた. 1については,前年度に収集し終えたデータから,欠損値を含む個人の観測値や外れ値などを除外するなどして,本研究で利用しやすいようにデータの整備を行った.また,データの整備と併せて個人向けローンにおけるデフォルト発生確率がどのようになっているか,あるいはローンを借りている個人の特性など基礎的なデータの特徴についても調べた. 2と3については,デフォルトの発生確率の分析でよく用いられるプロビットモデルを基礎に,新たな計量モデルの作成を試みた.そのための準備として,まずプロビットモデルを用いて,1で準備したデータならびにシミュレーションデータを利用して,マルコフ連鎖モンテカルロ法による推定を行った.そこでの結果から,通常用いられるマルコフ連鎖モンテカルロ法では非常に収束が遅く,推定精度が極めて悪くなることが確認された.そこで,この問題を解決するために,Liu and Sabatti (2000, Biometrika)の一般化ギブスサンプリング法やLiu (2003, JASA)によって提案された方法を適用することを考えた。しかしながら,これらの方法は,本研究で提案する計量モデルには直接適用することができないので,新たな拡張を行うとともにその数学的妥当性を証明した.本研究で提案した推定方法を先のデータに適用したところ,これまでの推定方法よりもかなり収束や推定精度において改善されることが分かった。これらの研究成果は,現在論文としてまとめているところである.
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