2005 Fiscal Year Annual Research Report
代理変数を含む回帰モデルの推計方法に関する統計的分析(賃金関数への応用)
Project/Area Number |
17730148
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
車井 浩子 兵庫県立大学, 経営学部, 助教授 (70275296)
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Keywords | 代理変数 / 損失関数 / 予備検定 |
Research Abstract |
観測不可能な変数が含まれる線形回帰モデルの推定方法について、統計理論の側面から研究を行った。小標本を前提とし、観測不可能な変数に対して、代理となる変数を用いる場合と、その変数を省いてしまった場合の推定量の性質について、推定量の評価基準と代理変数の質を考慮した上で、シミュレーション実験により分析を行った。ここでは、過大推定と過小推定の重要性の違いを考慮するために、評価基準として、通常の二次の損失関数、及び非対称な線形損失関数を用いた。また、代理変数に関しては、観測不可能な元の変数に対して望ましい代理変数であるかどうかといった、代理変数の質を考慮した。その結果、代理変数の質が良い場合でも、用いる評価基準によってはその代理変数を用いないほうが望ましいケースがあるなど、評価基準と代理変数の質が、代理変数の選択、及び推定方法の選択に影響を及ぼすということが明らかになった。現在は、これらの理論的関係をより明確にし、さらに、用いる代理変数が説明変数として望ましいかどうかという予備検定を考慮した推定方法について研究を継続中である。予備検定を行うことにより、代理変数の質がわからない場合の推定方法の改善が期待される。 また、これら推定方法に関する理論的研究と並行して、賃金関数の推定方法に関する研究を進めている。賃金関数の推定においては、説明変数として個人の学歴、労働市場での経験年数が用いられることが多い。これらは、いずれも「個人の能力」を表す代理変数であると解釈できる。このように、賃金の決定要因にはいくつかの質的変数が含まれており、それら質的変数に対してはさまざま代理変数が用いられる。現在は、賃金関数の推定において用いられる代理変数とその推定方法に関する文献のサーベイを行っており、代理変数に関する上記の理論的結果の応用を検討中である。
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Research Products
(1 results)