2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本の貿易・直接投資が東アジアの環境汚染に与える影響についての研究
Project/Area Number |
17730153
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 史子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70347285)
|
Keywords | 貿易と環境 / 環境クズネッツ曲線 / CO_2排出量 |
Research Abstract |
本研究では、途上国の側から汚染産業の移転が環境クズネッツ曲線に与えた影響を検討した。中でも、東アジア諸国に焦点をあて、日本及び米国との汚染産業貿易が環境クズネッツ曲線に与えた影響を分析した。具体的には、1988年〜2000年における東アジア10カ国のCO_2排出量を、貿易依存度、製造業比率、環境汚染産業の対日米貿易を用いて推計した。分析の結果、東アジアから日本への環境汚染財の輸出増、及び製造業比率が、東アジアのCO_2排出量の増加につながることが分かった。一方、汚染産業の対米貿易は東アジアの環境クズネッツ曲線に対する影響は見られなかった。 また、比較のため、ラテンアメリカ諸国における環境汚染がアメリカとの貿易によってどのような影響を受けるのかについても研究を進めた。具体的には、1986年から1999年におけるラテンアメリカ14カ国のCO_2排出量を、貿易依存度、製造業比率、環境汚染産業の対米貿易を用いて推計した。分析の結果、ラテンアメリカから米国への環境汚染財の輸出増が、ラテンアメリカのCO_2排出量の増加につながる反面、輸入は排出量減少につながることが分かった。 本研究の成果は、松浦克己・広島大学教授との共著として、東アジアの研究については、Midwest Economics Association 2005 Conference、日本経済学会2005年春季大会、統計研究会セミナー、"Korea and the World Economy, IV" conferenceで報告され、現在英文ジャーナルに投稿中である。また、ラテンアメリカの研究については、Business and Economics Society International 2005 Conference、日本経済学会2005年秋季大会で報告され、英文ジャーナルに掲載された。 なお、本研究を実施するに当たって、東アジアの研究部分については、平成16年11月〜平成17年10月まで野村財団からも研究助成を受けたことを報告する。野村財団の研究助成については、平成17年度の科研費申請書類作成時点では、合否が判明していなかったので、事後報告になったことをお詫びする。
|
Research Products
(6 results)