2006 Fiscal Year Annual Research Report
地方政府は民間中小企業の成長を促進しているのか-中国上海市のサンプル調査分析
Project/Area Number |
17730154
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍾 非 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (20323470)
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Keywords | 私営企業 / 地方政府 |
Research Abstract |
昨年度のサンプルデータに基づいて、『政府の援助の手が助けたのは誰』という論文(草稿)をまとめた。おもな分析手順と結果は以下の通り。 まず,政府評価と成長率を判断材料に,助かった者の範囲を限定する.政府に肯定的な評価を下した店を肯定派,成長速度が中央値以上の肯定派を勝ち組と呼んだ.次に,「幹部友人を食事接待し,ギフトを贈ったことがある」を一番程度の低い腐敗と定義したのを皮切りに,「幹部との付き合いに,公私の区別がない」,「ギフトや食事接待の見返りがある」,「コネによる問題解決がある」などを根拠に,腐敗を計五つの等級に分類した.そのうえで,程度別の腐敗に当てはまる勝ち組を選び出した. 肯定派・勝ち組,腐敗,程度別腐敗の勝ち組を識別する要素に,「立入検査の頻度」,「利潤をコネに使うつもりの有無」,「幹部友人の多寡」,「努力・法律・コネに対する認識」,「共産党員かどうか」,「入党希望の有無」など援助の手のみならず,腐敗とも関わりうるものを想定した.プロビット・モデルで分析した結果,「利潤をコネに使うつもりアリ」,「幹部友人が多い」,「コネ派」などが識別するのに有力であり,「立入検査の頻度」では結果が分かれた. 以上の分析結果より、移行初期にある中国では、私営企業者が発展するには、地元政府と非市場的な関係(コネ)を作ることが重要だとの結論に達した。 備考:論文は改訂・投稿中
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