2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730156
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高松 聡子 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (70397074)
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Keywords | 国際金融 / 金融政策 |
Research Abstract |
本研究は,開放経済における諸問題,特に金融政策の厚生評価を行うことを最終目的としている.初年度である平成17年度は,まず先行研究の調査を行い,またこの主題に取り組む際に必要となる技術を確認し,そして分析の基礎的な枠組みを構築した. 本研究のモデルは確率的動学一般均衡に依拠しており,各経済主体の最適化を下敷きとしている為,社会厚生関数を尺度とした政策評価が可能である.その一方で,最適化された金融政策は往々にして非線形方程式となる為,近似を行うか数値的に解を求める必要がある.よって,本研究で扱う金融政策を分析するには従来の近時法や計算方法では不十分であることを踏まえ,新たに収束計算に大きく依存しないアルゴリズムの精緻化を行った. また,数値計算をするにせよ,内点解を得る為には,解くべき政策立案者の問題そのものが凹でなければならない.従来New Open Macroeconomicsの伝統的な定式化では,問題の非凹性のため内点解が得られないという潜在的問題を抱えており,これを回避する為には物価上昇の社会的費用を外生的に導人するなどのアドホックな対処がなされてきた.これに対し本研究では,貨幣の中の効用モデルを認めた上で,その貨幣からの効用の二通りの解釈を検討し,それぞれの解釈によって内点解の有無が異なることを内生的に示した. さらにこの枠組みを用いた数値計算の応用例としては,金融政策の国際協調が各国の経済厚生にもたらす変化を分析した.その際,採り得る政策の範囲としては,裁重政策や従来のコミットメントに加えてtimeless perspectiveを始めとする政策ルールの変化形も検討対象とし,国際政策協調によって各国の経済厚生に変化が生じ得るとの結論を得た.
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