2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730156
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
高松 聡子 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (70397074)
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Keywords | 国際金融 / 金融政策 |
Research Abstract |
本研究は,開放経済における諸問題,特に金融政策の厚生評価を行うことを最終目的としている。二年目である平成18年度は,昨年度の分析結果に基づき,その一部を論文としてとりまとめ,また分析を発展・拡張させた。 本研究のモデルは確率的動学一般均衡に依拠しており,各経済主体の最適化を下敷きとしている為,社会厚生関数を尺度とした政策評価が可能である。その一方で,最適化された金融政策は往々にして非線形方程式となる為,近似を行うか数値的に解を求める必要がある。本年度はそうした非線形な金融政策を数値分析する手法として,独自のアルゴリズムを開発すると共に,従来の近似法・計算方法との違いを整理した。 また,数値計算をするにせよ,内点解を得る為には,解くべき政策立案者の問題そのものが凹でなければならない。従来New Open Macroeconomicsの伝統的な定式化では,問題の非凹性のため内点解が得られないという潜在的問題を抱えており,これを回避する為には物価上昇の社会的費用を外生的に導入するなどその場限りの対処がなされてきた。これに対し本年度は,貨幣の流動性便益に対する物価上昇の影響を厳密に検討し,内点解を得ることに成功した。 さらに以上の枠組み・手法を応用し,国際的な政策協調が各国の経済厚生にもたらす変化を,政策が合理的期待に依存する場合について数値分析した。その際基本となる枠組みとして,各国の消費バスケットに差異がない場合の政策効果を体系的に整理し,論文にとりまとめ,現在は国際学術誌に投稿中である。またこれと同時に,より経済構造を一般的に拡張し,結果に変化が現れるか検証している。その一例としては,各国の消費バスケットに差異があるケースを考察した。
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