2007 Fiscal Year Annual Research Report
旧ソ連・中東欧諸国における企業金融メカニズムの分析-自己金融比率が高いのは何故か
Project/Area Number |
17730157
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
杉浦 史和 Teikyo University, 経済学部, 助教 (60377041)
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Keywords | 企業金融 / 移行経済 / 国際情報交換 / ロシア:ハンガリー:カザフスタン |
Research Abstract |
本プロジェクト三年目である平成19年度は、ロシアにおける企業金融メカニズムの実証分析を中心に研究を進めたほか、近年、相次いでEUに参加した中東欧諸国での銀行部門の急激な外資参加に着目して、企業金融を取り巻く諸条件の変化を研究した。具体的には以下の通りである。 まずロシアにおける企業金融メカニズムの分析に関しては、前年に引き続き800社を超える企業アンケート結果に基づいて実証分析を行った。その際、従来よりも一層細かく負債・自己資本比率など種々の会計データに着目して分析を行い、好況に沸くロシア企業は生産効率性の改善が見られているか検証した。その結果、負債構成が高まりつつあり、ロシア企業が資本の効率的な利用という観点からも健全化しつつある傾向を確かめた。またこれに関連して、資産収益性や資本回転率といった指標を調べたが、一定の改善傾向が認められた。 成果の第二として、中東欧諸国における銀行部門の発展に関する分析を行った。もともと製造業のFDI流入が盛んであった同地域において、近年金融セクターへの外資の参入が著しく、このため多くの国々でほとんどの大規模銀行が外資に売却されており、経済全体に占める外資系金融機関の役割は大いに高まっている。こうした諸条件の変化は、当然、企業金融メカニズムの形成にも大きく影響を及ぼすから、こうした企業金融を取り巻く条件の変化を解明する論文を自らが編纂した本の中で発表した。
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