2006 Fiscal Year Annual Research Report
寡占的電力市場における送電線網の設備形成とインセンティブ規制、垂直分離の経済分析
Project/Area Number |
17730158
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (10377137)
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Keywords | 寡占的電力市場 / クールノー競争 / 連系線 / 線形混合相補性問題 / 企業分割 / 需要変動 / リアルタイム・プライシング / ランピング・コスト |
Research Abstract |
1.連系線容量を考慮した寡占的卸電力市場モデルの改良・発展 前年度に開発したクールノー型卸電力市場モデルのプロトタイプに関して大幅な改良・発展を行った。まず、より現実にフィットするモデル構築の観点から、寡占的事業者が、発電電力の価格に関しては価格支配力をもつが、送電料金に関しては価格支配力をもたないケースのモデル化を図った。そして、線形混合相補性問題(Mixed Linear Comlementarity Problem)に基づく定式化を行い、数値解を導出するためのプログラムを開発した。これらの改良・発展により、解の一意性が担保され、解の計算も効率化された。 2.改良モデルに基づく日本の寡占的卸電力市場のシミュレーション分析 改良モデルに基づき、より現実に近いシミュレーション分析を実施した。まず、ベースケースとして、既存の8社によるクールノー競争のシミュレーションを行った結果、関東-中部間の連系線を境にして、東西市場に分断される状況を確認した。また、このケースにおける東西の価格差や社会的余剰のシミュレーション値も導出した。次に、関東-中部間の連系線の容量を増強した場合をシミュレートし、増設による社会的余剰の増分を算出した。さらに、関東に立地する最大手の既存事業者を、他の事業者に比べて相対的に多く分割することが、市場支配力緩和に大きな効果をもつことを確認し、分割数の増加による社会的余剰の増分を算出した。 3.ネットワークにおける規制政策の発展 電力のネットワークにおいては、需要バランスが刻一刻維持され続けることが必須である。需要変動が激しくかつ急峻な場合には、需給バランスの維持が困難でコストが嵩む。そこで、リアルタイム・プライシングを応用して急峻な需要変動を抑制るメカニズムを考察し、ランピング・コスト(ramping cost)に着目した理論の精緻化・発展を行った。
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Research Products
(2 results)