2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市・地域経済モデルのもとでの公的部門の行動様式と望ましい運営形態の分析
Project/Area Number |
17730160
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
近藤 広紀 信州大学, 経済学部, 助教授 (30324221)
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Keywords | 都市経済学 / 新しい経済地理モデル / 集積 / 公共投資 / 社会資本 |
Research Abstract |
本研究は,民間の経済活動が,規模の経済性や外部効果等のために,特定の地域に集積していくような状況下において,公共サービスの運営と供給,およびそれに必要な社会資本の整備に携わっている公営企業部門あり方について,中央や地方の政府部門との課税や補助,規制等を通じた関係に留意しながら,解明していくことを目的としている. 平成17年度(研究計画1年目)は,民間経済主体が特定地域に集積していく可能性のある状況下においては,各地域の地方政府や公営企業などの公的部門の意思決定はどのようになるか,そして,それによって地域間分業がどのようになるか,実現される分業体制は規範的に見てどのように評価できるかについて,都市・地域経済モデルの枠組みを用いながら,理論的分析を試みた. 都市部と地方部において供給される輸送インフラ・輸送サービスなどの社会資本・公共サービスの水準は,一意には定まらないこと,特に地方部においては過大な社会資本・公共サービスが供給され,それによって,希ではあるが,正の確率で,都市と地方の分業体制が逆転する可能性があることが明らかにされた.しかしながら,そうした逆転の可能性があるために,都市部において十分な社会資本・公共サービスの水準が確保され得ることが明らかにされた.地方部の社会資本・公共サービス供給をより望ましい水準に抑え込むなら,今度は都市部で十分な社会資本・公共サービスの供給が達成されなくなる. こうした理論的な分析の成果は,論文"Economic Geography and the Strategic Provision of Public Infrastructure"としてまとめた.
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