2005 Fiscal Year Annual Research Report
飲食料品に関する原産地表示および地理的表示制度の経済効果
Project/Area Number |
17730168
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
中澤 栄一 明海大学, 経済学部, 助教授 (80276401)
|
Keywords | 地理的表示 / 原産地呼称 / 原産地規則 / 国際貿易体制 / 知的財産権 / 差別化 / 異質財 / 食品 |
Research Abstract |
初年度の主な研究成果としては、1.理論分析・実証分析について先行研究の展望を行った結果、次年度に行う具体的な分析の枠組みを確立したこと、2.現地調査により先行国におけるケース・スタディに関する文献やデータを収集したこと、3.国際機関等におけるインタビューを通じて研究課題に関する最新の国際的論議にキャッチアップしたこと、が挙げられる。1.飲食料品にとどまらず財全般に関する「地理的表示(geographical indication)」(特定の地理的原産地をもち、その原産の場所に帰する品質や名声を保有する財に用いられる標示)の法制化に関しても、「原産地規則(rules of origin)」についてVermulst, Waer and Bourgeois(1994)所収の諸論文や松村・藤川(1998)が指摘するような「制度的様相による規定」と「経済合理性」との対立の問題が付きまとう。経済的に意味のある「原産地」の規定を行うために、松村・藤川が提言するような産業連関表(特に国際産業連関表)を用いた付加価値の計算に基づく厳密な「原産地」の再定義を試みる。2.「地理的表示」の経済学的効果に関するケース・スタディについては、日本で入手可能なものは極僅かであったが、2月にボルドー大学等にて学位論文等の膨大な研究業績を入手できた。3.UNCTAD、OECD、WIPO等の国際機関におけるインタビューの結果、「原産地規則」や「地理的表示」に関する最新の研究成果や会議文書へのアクセスが可能となり、今後コンタクトをとるべきキーパーソンを紹介していただいた。 これらの成果をもとに平成18年度は、初年度のサーベイの成果を適宜発表しつつ、(ア)収集した先行研究や公的文書の整理と分析、(イ)産業連関表を用いた国際規律シナリオの計量分析、(ウ)ミクロ・レベルのデータへのアクセスに基づく地理的表示の効果の計測、を中心に引き続き研究を取り進める。
|