2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会の中の国際労働移動政策:日本におけるフィリピン人労働者の受入れのケース
Project/Area Number |
17730196
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
M・R・D Carlos 龍谷大学, 国際文化学部, 助教授 (90335414)
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Keywords | 外国人労働者 / 介護労働者 / フィリピン / 高齢社会 |
Research Abstract |
平成18年 本研究の主な目的は、日本の高齢社会の中の外国人労働者の受け入れを産業レベルで分析し、彼らの日本経済における役割を明らかにするとともに、受入れ国・送り出し国両側の政策的対応を検討するものである。平成18年度には、特に高齢化問題を抱えている他の国(オーストラリア、香港、シンガポール、アメリカ)の例をみて、これらの国はどのような高齢社会政策を採っており、(その中でも外国人労働者の受け入れに関するものに注目して)これらを分析して日本にとって有益でfeasibleな外国人労働者を考慮した高齢社会政策を考えてみた。 今年の研究の中心は外国における高齢社会と外国人労働者の実態調査である。まず、シンガポールと香港の状況を確認した。これらの国は日本に比べて高齢化が以前から最も問題になっており、労働不足を解消するために介護サービスの外国人従事者を多く受け入れている。その特徴は、熟練労働者である医者や看護婦だけでなくdomestic helpersの雇用も許可していることである。アメリカやオーストラリアは技術や言葉の一定の基準を満たす熟練外国人労働者のみを受け入れる傾向がある。一方、日本は2006年下旬にフィリピンと経済連携協定を結び、そのなかで、フィリピンからの介護労働者の受け入れが注目されている。その内容を読むと、日本はアメリカに近い政策を採ろうとしており、スキルと言葉に関する条件を満たすフィリピン人のみ受け入れようとしている。このような政策の長期的な経済・社会におけるインプリケーションを考える必要があり、これからの研究課題にしたい。 もう一つ、私が今年見てきたのは、送り出し国にとって最も重要な経済的役割を果たす「海外送金」である。まず、送金の金額の決定要因(たとえば、労働者の性別と年齢や家族の規模)を調べ、さらに、これらの要因と海外での滞在期間の関係も計量的に分析した。
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