Research Abstract |
平成17年度において実施した中心的な作業は,インドネシア中央統計庁が実施している産業統計(Large and Medium Manufacturing Statistics)の個票データと,同産業ダイレクトリー(Manufacturing Industry Directory)に記載されている事業所名をマッチさせ,特に日系企業を中心に,外資系企業の主な投資国を識別することであった。研究補助員とともにこの作業を行ってきた。また,作業途中で判明した統計データの不備な点,整合性のない点などについては,11月のインドネシア出張時に中央統計庁の産業統計部門担当者と面会し不明な点を明らかにした。全作業の結果,外資系・政府系を中心に約2,700の事業所(従業員20名以上の製造業種)を識別することができ,そのうち,約480事業所が日本企業からの出資があったものであることがわかった。尚,1998年時点のデータをもとにマッチング作業を行ったが,東洋経済新報社『海外進出企業総覧』に掲載されている同時点の製造業種企業(従業員20名以上)およそ450社,経済産業省『海外事業活動基本調査』によれば365社である。 現時点における暫定的な集計作業結果によると,従業員20名以上の事業所(製造業種)における雇用総数,付加価値総額のうち,日系の事業所はそれぞれ5.5%,16.7%のシェアを占めている(数字は1998年)。これらの数字は,外資系を全体として見た場合の27.3%,45.4%に相当する。つまり,1980年代後半からの製造業の急速な成長において重要な役割を担ってきたと考えられている多国籍企業の中でも,日系企業が中心的な存在であったと言えよう。特に,電子機器,輸送機械の業種で日系企業のシェアが高く,雇用面ではそれぞれの業種全体の34%,23%,付加価値の面では,45%,27%を占めている。また,日系企業は他の外資系企業と比較して,ジャカルタ特別州に立地する傾向が強いことがわかった。他に,西ジャワ州,リアウ州(バタム)にも多くの日系企業が集まっている。
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