2005 Fiscal Year Annual Research Report
非営利組識と公的部門の「協働」の制度化に関するモデル分析
Project/Area Number |
17730203
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 光 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10313967)
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Keywords | 公共財 / 自発的供給 / 市場の失敗 / 協働 / 非営利団体 |
Research Abstract |
本研究は、公共財の自発的供給理論を援用しながら、市場の失敗と非営利組織の行動を含んだモデルを構築し、市場の失敗を解決するための最適政策を理論的に導出することを目的としている。特に、公的部門の最適政策を考える際に非営利組織と協働する(つまり、非営利組織の目的を公的部門の一部に含むような)制度を構築することが、公的部門にとっての最適解になるモデルの構築を試みる。 本年度は、第1に、公的部門と非営利組織の協働の国内の実態を整理した。特に、あいち協働ルールブック推進フォーラム等に参加することによって、非営利団体の活動と協働のルールの実態を、社会的役割、活動分野、組織展開、担い手の構成等の視点から分類・整理した。これらをまとめたものは、米国で開催された2nd Guam Forum on International Accountingで報告された。また、非営利団体と公的部門のように利害が必ずしも一致しない経済主体間のconflict solutionを会計的側面からモデル化した研究は、アイルランドで開催された29th European Accounting Association Annual Congressで発表された。 実態の整理から得られた特徴等を考慮しながら、本年度の後半では、非営利組織を市場の失敗の解決手段として公的部門が利用するような基本モデルを構築した。モデルは、従来の公共財の自発的供給理論を援用することによって、非営利団体と公的部門の協働を含む形で構築されている。このモデルに基づく政策分析は、"Further Analysis on Public Good Provision in a Repeated Game Setting"というタイトルでまとめられ、昨年秋に米国において開催された国際地域学会において報告された。市場の失敗による効率性のロスを少なくするために、公共財を自発的に供給する主体間には、長期的関係が重要であると同時に、経済に財政上の外部効果という第2の外部性が生じている場合には、相互に及ぼしあう外部効果が大きいほど協力的な解が得やすくなることなどが示されている。 学会で受けた指摘やコメント等をもとに、モデルの頑強性の検証、政策含意の精査等を行い、来年度中に国際学術雑誌に投稿することによってその成果を問う予定である。
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Research Products
(4 results)