2006 Fiscal Year Annual Research Report
住民自治・ガバナンスの検証-情報公開が地方政府の財政運営に及ぼす効果の実証分析-
Project/Area Number |
17730206
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
赤井 伸郎 兵庫県立大学, 経営学部, 助教授 (50275301)
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Keywords | 情報公開 / 説明責任 / ガバナンス |
Research Abstract |
近年の地方分権への動きの高まりから、各自治体は効率的に経営するために財政・説明責任の確立が不可欠と言われている。その責任を確立するために必要な説明責任(ACCOUNTABLITY)は、情報公開を通じた地方住民によるガバナンス(統治)によって達成される。その効果を検証するための第二ステップとして、平成17年度で行った海外・国内文献のサーベイを引き続き行うとともに、検証に必要なデータを入手する作業を行った。具体的には、総務省や各自治体、民間などから、資料を収集・整理した。 また、公共部門の透明性のデータとして、日本経済新聞社と日経産業消費研究所による『全国市区の行政比較(行政革新度・行政サービス度)』を利用し、今後の分析に向けてデータを整理した。このデータは、全国675市・東京23区を対象に、行政改革度(透明度、効率化、活性化度、市民参加度、利便性)を調査したものである。調査方法は調査用紙郵送方式で、2002年7月末〜8月末に回答を得ている。有効回答数は、649市と23区の計672団体(回答率は96.3%)である。その結果、以下のことが明らかとなった。実施(導入)の割合が高いのは「情報公開制度の導入」で、671団体(有効回答数の99.9%)で同制度が実施されている。情報公開とは、「情報公開条例への知る権利の尊重を明記」、「住民以外にも情報公開請求資格」、「電磁的記録の情報公開」等を指している。次いで、「受理した住民の意見。要望への回答」や「議会の情報公開制度」の割合が高く、それぞれ、625団体(同93.0%)と609団体(同90.6%)で実施されている一方で、実施の割合が低いのは「行政コスト計算書の行政評価への反映」で、16団体(同2.4%)で実施されているのみである。また、「バランスシートの独自帳簿の作成」や「オンブズマン制度の導入」も実施の割合が低く、それぞれ、25団体(同3.7%)と31団体(同4.6%)で実施されている。
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