2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730207
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小幡 績 慶應義塾大学, 大学院・経営管理研究科, 助教授 (80345438)
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Keywords | 倒産 / メインバンク / 銀行 |
Research Abstract |
日本企業における豊富なデータと対照的に、多くの国では、詳細なデータを集めることの困難に直面した。ケース事例の描写は出来ても、包括的なデータベースの構築には、統一的な観点からデータが収集されておらず、メディアベースの情報でも、統計的解析の出来るデータの構築は出来なかった。したがって、入手可能なメディア情報を元にケースの分析を行った。それに伴い、ある程度まとまった数の倒産企業の情報が集められる国に絞って、データの構築を行うこととし、データ収集の方針を修正した。 一方、わが国の銀:行による融資行動については、昨年に引き続き研究を行った。マクロ経済の回復とともに、不振企業自体が減少していったが、それとともに、融資行動にも大きな変化が見られ、倒産を回避するための融資が進められ、それにより、大きく改善する企業も目立ち始めた。したがって、これまで追い貸しといわれてきた、非効率的な融資に関しても、マクロ経済の状況によっては、評価が大きく分かれる可能性が示唆された。 また、大変興味深いことに、コーポレートガバナンスの変化と融資の変化及び資金調達の変化には関係があることが示唆された。すなわち、通常の追加融資でなく、大規模なエクイティファイナンスを行う企業が散見されるようになり、それらの企業は、通常の融資拡大の企業よりも、相対的に規模は小さいことが多く、経営状況も悪いことが示唆された。そして、株主構成の大きな変化を伴った企業は、その後、業績がさらに大きく低迷するところが一定数あることが示唆された。これは、緊急避難的に行った資金調達がガバナンスの悪化をもたらす可能性があることを示唆している。
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Research Products
(1 results)