Research Abstract |
平成17年度におきましては,米国での理論と定型的事実を踏まえつつ,我が国のデータを用いて,研究課題であります行動ファイナンスに関する実証分析を丹念に行って参りました。 主な成果と致しましては,まず日本を含む米国,カナダ,英国他計7カ国の債券市場を対象に投資家の合理性を実証的に検証し,ほぼ全ての国で投資家が完全に合理的とはいえないとの結果を得ました。この研究は,論文としてTsuji(2005,AFL)で公表致しました。また,日本のオプション市場における投資家の反応を実証分析により調査したところ,Stein(1989)等による米国での先行研究と同様に,概して投資家の情報に対する過剰反応が,日本の市場でも検出されるといった結果も得ております。さらには,日本の投資家による予想データを分析し,短期においては,米国での先行研究であるSolt/Statman(1988)などとは異なり,投資家の予測が必ずしも単純な外挿によるものではないこと,また複合的に予想情報を用いれば,株式市場の方向性の予測にある程度有用であるといった結果を得ました。後2者については,現在論文の形にとりまとめているところであり,来年度以降に発表できればと考えております。 その他関連研究や今後の予備的研究として,Tsuji(2005,JIMF他4本ほど学内外に論文としてとりまとめ発表いたしており,次年度以降もより興味深い成果が得られるよう鋭意努力して参りたく考えております。
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