2006 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発および部品調達における企業間協働の理論的・実証的研究
Project/Area Number |
17730228
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
真鍋 誠司 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (10346249)
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Keywords | 組織間学習 / 信頼 / EDI / 自動車産業 / サプライヤー・システム / 戦略的提携 |
Research Abstract |
本研究は、自動車産業における組織間関係について、「組織間学習」および「情報技術」の2点から検討した。 まず、組織間学習については、「ルノーと日産の提携」と「トヨタのサプライヤー・システム」における学習を考察した。事例から得られた示唆は、以下の3点である。(1)組織の異質性が高ければ高いほど組織間学習の成果が高くなる反面、学習自体は困難になる可能性がある。(2)指導することが、自らの学習に繋がる。(3)組織間学習において、相手の能力を適切に評価し、期待するからこそ、組織間学習の継続が可能になる。また、資本関係があると、共存共栄への期待を担保している可能性もある。共存共栄への期待は、契約以上の指導や提案を可能にし、組織間学習の成果を向上させると考えられる。 情報技術と取引関係についての研究では、日米自動車部品企業におけるEDI(電子データ交換)の採用と統合を決定する要因について検討した。取引コストアプローチと資源依存アプローチに基づいたいくつかの仮説を構築し、日米の部品企業から得たデータを用いて検証した。われわれの研究結果は以下の通りである。(1)資源依存アプローチはEDIの採用においてより説明力があるが、取引コストアプローチはEDIの統合においてより説明力がある。(2)取引コストアプローチは米国のコンテクストと適合しているが、資源依存アプローチは日本のコンテクストと適合している。(3)米国においてEDIの採用と統合はEDIの成果に正の影響を与えており、われわれの分析フレームワークが米国においてより高い妥当性をもつことを示唆している。
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