2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730241
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
金 泰旭 広島市立大学, 国際学部, 助教授 (90364108)
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Keywords | 大学発ベンチャー / 制度 / 日韓比較研究 / ビジネスモデル / インキュベーション |
Research Abstract |
昨今、大学発ベンチャーの社会的意義が再認識されつつある。すでに、日本は2003年度に平沼プランが公表してから本格的に大学発ベンチャーが登場し始め、2005年度には約800社の大学発ベンチャーが日本に創出された。つぎに、韓国は金大中政権の中小企業およびベンチャー企業育成策を筆頭にしてベンチャーブームが発生し、ベンチャー産業が韓国経済の担い手としての役割を果たしてくれるだろうという国民的な期待が高まってきた。そのなか、国立大学の教員や研究所の研究員の創業を促進する法的支援制度が次から次へ制定され、IT、バイオ、ナノ産業を中心に大学発ベンチャーが創出され続けている。 一方、アメリカでは1980年にバイ・ドール法が制定され、大学や研究機関にて開発した特許や知的財産権の所有権が最初に研究資金を与えた資金源に帰属されるのではなく、発明家が所属している大学に帰属する。大分遅れたが、2004年以降日本も法律改定により、それまで個人のみ与えられた所有権を大学や研究機関が所有できるように制度基盤が整われた。 他方、韓国では大学や研究機関で開発した特許や技術が個人のものになる場合と、大学に帰属される場合とで分かれている。つまり、個人の資金を使って個人的に研究を進めてきた研究内容に関しては大学や研究所のメンバーであってもその開発した技術に関する権利は個人に帰属される。 本研究は全部3年で計画されている。まず、2005年度は韓国のベンチャー産業の発展史について具体的に調査することにした。韓国のベンチャー産業の発展史やベンチャー産業の発展をささえてきた政府の産業育成策などのマクロデーターの調査を行ったうえ、個別企業の事例研究に着手することにした。2次データーやインタビュー調査などを重ねながら豊富な資料をもとに韓国のベンチャー産業の発展史、インキュベーション機関、ベンチャーキャピタル、大学発ベンチャーを取り巻く諸制度調査を行った。その成果として整理したのが広島国際研究に掲載される予定である「日韓インキュベーション・センターの役割とベンチャー企業活性化に関する一考察-KIPA KOREA、JAPANの事例を中心に」と産業総合研究所の日韓HS調査プロジェクトの2005年度最終報告書に掲載される予定である「韓国HS関連制度調査」および「マークエニー株式会社の事例研究」である。次年度は更なる韓国の大学発ベンチャーの事例研究と日本の大学発ベンチャーに関する事例調査に着手する予定である。
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Research Products
(3 results)