2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国信用社会経済の発展と日本企業の中国信用販売管理スキーム開発
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17730260
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
谷地 弘安 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究科, 助教授 (10293169)
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Keywords | 中国 / 営業 / マーケティング / 債権回収問題 |
Research Abstract |
本年度は信用販売に直結する営業活動について,国内文献を中心に日本における債権回収の要諦を営業要員の活動特性という視点でレビューした。次に,そこからの視点を中国での営業活動に適用すべく,中国企業の債権回収に関するパイロット・リサーチを実施した。そこから得られたことは次のようなものである。 まず,回収問題に直面しているのは中国企業も例外ではないということである。しかも,回収問題が起きているのにその深刻さを認識していないという売り手サイドの事実・認識ギャップがあり,まさにこれが回収問題の根深さを示していることがわかった。このような事実・認識ギャップは日本の営業活動には見られないものであり,ここが大きな特徴であることが見えてきた。 顧客が代金を支払わない理由は大きく2つあるが,顧客に支払能力がないこと,支払能力はあっても故意にそれをしないという理由が常軌的であることが判明した。ここはこれまでの研究と整合的である。つまり,信用取引で回収難が起こるのは,顧客の「Could(支払能力)」と「Would(支払意志)」の問題に由来するということである。また,Couldでいうと,顧客企業もまた同様に回収問題に直面しており,それゆえに支払資金の欠如にあえいでいる実態が浮き彫りになった。これは,回収問題がサプライチェーンに逆行するかたちで起きていることを意味する。 こうした問題にいかに対応していくか。調査対象となった中国企業にも有効な方策は編み出せていない。特に注目すべきは,彼らは回収を専門とする組織を設けていないことにある。つまり,中国企業の債権回収問題は,そもそも回収への努力不足を大きな理由としている。これは回収問題に対する事実・認識ギャップにつながる。 本年度の調査研究に引き続き,来年度は日本企業の信用販売実態を明らかにし,そのうえで日中企業双方での信用販売管理メカニズムの探求を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)