2005 Fiscal Year Annual Research Report
BtoC電子商取引における消費者保護制度に関する流通政策研究
Project/Area Number |
17730267
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
丸山 正博 拓殖大学, 商学部, 講師 (70365865)
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Keywords | 電子商取引 / インターネット通信販売 / 流通政策 / 消費者保護 / ソーシャル・マーケティング / 消費者政策 / 販売チャネル / 取引の非対面性 |
Research Abstract |
本研究では、第一に、わが国におけるB to C電子商取引市場への社会的関心の強さを測るために各種雑誌に掲載された関連記事・論文名に関する集計・分析を行った。そして電子商取引に関する記事・論文数が2000年以降は減少していること、2002年頃までは海外事例の紹介記事が多かったが、近年はオークションやセキュリティといった具体的なビジネス活動や取引システムに関する記事・論文が増加していること、を確認した。 第二に、B to C電子商取引に関する諸システムで先行する韓国・香港・米国の状況を踏まえた上で、当該市場の一般的な特徴として、取引の非対面性、低い参入障壁と差別化の困難性、取引における多数当事者の関与、という三点があることを確認した。そして、消費者の非対面取引に対する不安感を除去し、事業者が価格競争に陥ることなく差別化をするためには、法規制によらない企業の自主的な消費者保護策の導入がマーケティング戦略として有効であることを確認した。 第三に、従来の流通政策は事業者間関係への諸施策が主な研究対象であったがB to C電子商取引では消費者が情報収集力を増し、情報発信者として能動的な存在になって流通システム上の存在感を増しているので、消費者向け政策を検討する必要性が高いことを確認した。 以上の研究を踏まえ、1.消費者の交渉力は強化されており弱者保護の視点のみならず、対等な市場参加者として主体的な取引判断をできるような消費者政策を検討すべきこと、2.消費者保護制度の整備は企業活動を制約するだけではなく企業のマーケティング活動の有効性を向上させるものであり、業界団体等の自主基準で付加的な消費者保護策を拡充すべきこと、を仮説として導いた。
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