2005 Fiscal Year Annual Research Report
リアル・オプションとゲーム理論の戦略的投資意思決定会計への適用に関する研究
Project/Area Number |
17730274
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
篠田 朝也 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (50378428)
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Keywords | 投資意思決定会計 / リアル・オプション / モンテカルロ・シミュレーション / NPV法 |
Research Abstract |
平成17年度の研究実績として,2本の研究論文を公表している。 「投資意思決定会計へのシミュレーション分析の適用における意義と問題点」では,NPV法および典型的な管理会計手法であるCVP分析にモンテカルロ・シミュレーションを適用した場合の意義と問題点について検討を行った。本稿では,具体的な数値例を示すことで,NPVの全体分布を算定するプロセスについて具体的に提示した。これらの検討結果により,モンテカルロ・シミュレーション適用することで,「どれほどの確率で,どの程度のNPVを獲得できるのか」という,通常のNPV法では入手できない情報を得られるということを明確に指摘することができた。それに合わせて,当該手法が有するいくつかの問題点についても詳細に検討を行っている。 「不確実性下における資本予算の評価モデル-リアル・オプション法の意義と課題-」では,具体的な数値例に基づいてリアル・オプションとNPV法との比較を行うことを通じて,リアル・オプションの意義と問題点について検討を行った。本稿では,モンテカルロ・シミュレーションをリアル・オプションとNPV法のそれぞれの評価モデルに適用して分析を行い,NPV法から算定されるNPVの全体分布よりも,リアル・オプションから算定されるそれは,標準偏差が低下するとともに平均値が上昇して,NPVの分布が上方にシフトするということを明らかにしている。また,リアル・オプション価値算定手法として,ブラック=ショールズ・モデルと2項モデルのもつ特性と限界についても考察を行い,それらの利点と限界について論点を整理した。リアル・オプションの問題点についても詳細に検討を行っている。 以上,リアル・オプションと投資意思決定会計の研究に必要と思われる研究の基礎的土台については,研究初年度である平成17年度において,ある程度達成できたものと思われる。
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Research Products
(2 results)