2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730276
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小澤 康裕 神戸大学, 経営学研究科, 助手 (50362819)
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Keywords | 監査 / リスク・アプローチ |
Research Abstract |
本年度は、予定した研究課題である1.リスク・アプローチとはそもそもどのような監査実務として生成してきたのかを明らかにすること,ならびに,2.リスク・アプローチの実践内容はどのように展開してきたのかを跡付けることに取り組んだ。 まず,19世紀末から20世紀初頭にかけての英国及び米国の監査方法の変化を跡付け,リスク・アプローチ監査の生成に関する基礎を得ることができた。19世紀末までに英国において,(1)監査目的観の実質的な変化,(2)試査,(3)内部牽制(内部統制)への着目という,リスク・アプローチに必須の3要件の萌芽がみられたことを明らかにした。従来は、英国監査=帳簿監査と捉えられることが多かったが,実は,19世紀末の英国監査がリスク・アプローチに近づく形で変化しており,当該アプローチの形成過程の端緒と考えられるのである。 また,わが国のリスク・アプローチ監査の実践内容やその水準を検討するための基礎として,最近のわが国の監査基準の改正によって採用された監査アプローチが,条件付き確率の考え方を用いた場合には,望ましい方向に変化していることを明らかにした。 さらに,本年度は,米国及びカナダ等における,リスク・アプローチに関する膨大な先行研究を調査し,これらの類型化と分析も開始しており,次年度は,これらを基に,わが国の監査人を対象にアンケート調査を実施する予定である。本年度の研究内容は,その準備作業も兼ねている。
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