2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦時期の知の位相とその戦後への移行に関する歴史社会学的研究
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17730312
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
福間 良明 香川大学, 経済学部, 助教授 (70380144)
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Keywords | 知 / 戦前-戦後 / ナショナリティ / 戦争体験 |
Research Abstract |
平成18年度は、前年度の研究をふまえながら、1、アカデミズムにおける民族学言説の位相と民族学者集団の社会的機能、および2、戦後知識人における戦争体験のインパクトについて、考察した。 1、については、大正末期に創設された日本民族学会の活動に着目し、民族学が先行する人類学や社会学に対し、どのような差異化をめざしたのか、民族学者たちはその知をいかに制度化し、大学教育やアカデミズムの内部に位置づけようとしたのかを検証した。そのうえで、大正期には曖昧な境界領域の知でしかなかった民族学が、戦時期に制度化を実現し、その知が人類学以上に有用性を見出されたことを明らかにした。これについては、平成18年11月に国際日本文化研究センターの共同研究「戦間期日本の社会集団の相互関係とネットワーク」において発表し、それをもとに、拙稿「民族知の制度化」を執筆した(猪木武徳・佐藤卓己編『戦間期日本の社会集団(仮題)』NTT出版・2007.9[近刊]所収)。 2、については、戦後の沖縄学者や教育学者のほか、保守主義や左派の知識人の議論を取り上げ、戦後の世論popular sentimentsや輿論public opinionに対する彼らの考えやそこにおける彼らの知の関連性を考察した。これについては、拙著『「反戦」のメディア史--戦後日本における世論と輿論の拮抗』(世界思想社・2006年5月)として公表した。また、海軍予備学生等出身の戦後知識人・文学者の戦争観やその位相について、拙著『殉国と反逆』(仮題・青弓社・2007年7月刊行予定)を執筆した(現在も一部継続中)。 平成19年度は、戦時期から戦後にかけての広報学や社会学の言説を検証するとともに、平成17・18年度に行った研究も綜合する形で、一書にまとめたいと考えている。
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Research Products
(1 results)