2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境問題の解決に向けた制度の成立・伝播・受容の過程-ごみ分別制度を事例として-
Project/Area Number |
17730313
|
Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
篠木 幹子 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (20398332)
|
Keywords | ごみ分別 / 廃棄物 / 水俣市 / 上勝町 / 名古屋市 / 政策 / 循環型社会 / 環境 |
Research Abstract |
現在、ごみの分別収集は地域によってさまざまな方法で行われており、大きく次の2つに分類できる。(1)住民に詳細な分別を要求する方法と、(2)住民の分別数は少なく、収集後、機械などを利用して分別を行う方法である。本年度は、住民に詳細な分別を要求する方法を採用している地域における聴き取り調査を実施した。 中心的に調査を実施した水俣市のごみシステムの成立に影響を与えたのは、(1)循環型社会へ転換しようとする国レベルの動き、(2)爆発事故などの処理システムを見直さざるを得ない切迫感、(3)水俣病問題の解決に向けた流れと環境都市としての再生への流れ、(4)市役所や議会のバックアップ、(5)モデルとなるシステムの存在、(6)機械を導入した工場を設置する十分な余裕がないという財政状況、(7)分別システムの計画担当者と構築担当者が同じであるという状況、(8)政策的志向であることが明らかになった。その中でも、善通寺市のごみ分別システムは水俣市のシステムを形成する重要な要因となったことが明らかになった。さらに、水俣市では、ごみ分別システムを通して地域住民が互いに協力し、コミュニケーションをとるようになったという特徴がみられた。詳細な分別を採用している徳島県上勝町では、モデルとなった具体的な事例はなかったが、詳細な分別をしている人々の挿絵が現在の分別制度のヒントになっている。また、上勝市の場合は、町に処理場がないのでごみを減らすしかない、という切迫感もあった。さらに、名古屋市では、藤前干潟にごみ処分場が作れないという切迫感が、詳細分別の大きな理由となっていることが明らかになった。
|