2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境問題の解決に向けた制度の成立・伝播・受容の過程-ごみ分別制度を事例として-
Project/Area Number |
17730313
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
篠木 幹子 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (20398332)
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Keywords | ごみ分別制度 / リサイクル / 水俣市 / 規範意識 / 手間感 / 意識 / 分別行動 / 環境 |
Research Abstract |
本年度は、ごみ分別制度の伝播と受容の過程について、水俣市を中心とした聴き取り調査によって明らかにした。水俣市のごみ分別制度は、善通寺市をモデルにしている。そして、水俣市にも、多くの市町村が視察に訪れ、水俣市をモデルとしたごみ分別システムが他都市で新たに作られている。ただし、このような新たなシステムは、水俣市がかつてそうしたように、市の実情によってアレンジされている。さらに、聴き取り調査からは、視察に訪れた他市町村は、次の二つの反応に大きく分けられることが明らかになった。1つ目は、自分たちの市町村で水俣市のシステムをモデルとするのは無理である、というあきらめの反応、2つ目は、ぜひともこのシステムを導入したいという意気込みで、住民なども連れてさらに研修を行う、という反応である。 制度の受容に関しては、手間のかかる水俣市のごみ分別制度について、導入初期も現在も手間がかかると感じている人が少なからず存在することが明らかになった。しかしながら、聴き取り調査から、多くの人々が当時の行政担当者の熱意を強く感じ、手間がかかったとしても、自分も協力しないといけないといった「規範意識」を感じ、そのような人の協力によって制度の導入が行われたことが明らかになった。ただし、少数派ではあるものの、このような住民主体型のごみ分別制度のあり方に疑問を持つ市民が存在するようである。今後は、このような住民の意識を掘り下げつつ、ごみ分別制度が水俣市民に与えた影響を解明する予定である。
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