2006 Fiscal Year Annual Research Report
加齢・災害による都市での空間経験の変化及び物理的・関係的距離への対応の研究
Project/Area Number |
17730319
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
西野 淑美 日本女子大学, 人間社会学部, 助手 (30386304)
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Keywords | 都市空間 / 距離 / 老人ホーム / 目黒区 / 質問紙調査 / 阪神淡路大震災 / 住宅再建 / 神戸市 |
Research Abstract |
本研究は、空間へ拘束される状態・意識と空間から自由な状態・意識が、同じ都市という空間に住む者の間で、また同じ個人の中でも並在することへ注目し、両者が個々人の当事者視点にとってどのように成立し、体験され、対処されるかを、聞き取りや質問紙調査のデータから切り出すとともに、全体としての都市という制度の重層的な理解を試みている。具体的には下記のA・B2つのタイプのフィールド事例を追っており、本年度は以下の研究を行った。 (A)東京都目黒区内の50-69歳男女個人1200名を住民基本台帳から無作為抽出し、2007年2月に「介護への対応と親子の住み方についての調査」を訪問留置法で実施した。有効票は376票、有効回収率は31.3%だった。(1)住む地域や仕事をかえてきた経験、(2)((1)の結果としての)親子の住まいの散らばり方、(3)((2)の条件下での)親の老後の支え方、これら(1)〜(3)がお互いに与える影響を明らかにすることを意図した調査票設計となっている。対象者の居住地歴及び就業歴、対象者の親の居住地歴、対象者の親と他子との居住地の距離およびサポート状況を聞いていることが特徴であり、空間と様々な空間的な制約条件が、親子のサポート関係にどう影響していくかを把握しうるデータを収集できた。また、「空間」が個人の人生上の選択における拘束条件として私的に感受されるような社会状況を、次年度の研究で描出していく際の、有効なデータともなった。 (B)阪神淡路大震災後に住民のおよそ3分の2が地域外へ転出した、神戸市灘区琵琶町の震災時住民の当事者視点から、「転出すること」「元の土地に戻ること」がどのような個人差を持って体験されたかを、昨年度に引き続き追うため、当地区に夏期と冬季の2度訪れ、住民の活動の観察と聞き取りを行った。
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