2006 Fiscal Year Annual Research Report
ローカル・コモンズの再生と協働関係の構築に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
17730320
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
帯谷 博明 奈良女子大学, 文学部, 講師 (70366946)
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Keywords | 環境社会学 / 流域管理 / 環境運動 / 地域づくり / 公共性 / NPO / NGO / 住民意識 / 環境保全 |
Research Abstract |
本年度の研究の概要は以下の通りである。 理論的研究としては、環境社会学の近年の諸研究を踏まえつつ、コモンズ論、NPO/市民社会論、社会運動論、環境ガバナンスに関する諸研究を中心に整理検討した。あわせて、昨年度に引き続き、多様な主体の協働関係の成立条件に焦点をあわせるため、コミュニティ意識やコミュニティの権力構造、コミュニティ政策と住民参加という基礎的な議論を押さえた上で、ソーシャルキャピタル論や公共性論に関する近年の研究動向を整理した。 実証面では、これまで継続的に調査を行ってきた大分県大野川流域、奈良県川上村(吉野川)に加え、(1)滋賀県高島市新旭町における水と地域住民との関わりや観光化への対応に関する現地調査を実施した。(2)また、大分県宇佐市安心院地区を舞台に展開しているグリーンツーリズム運動について、現地にて関係者への聞き取りと資料収集を行った。その中で、農泊のおもな担い手である農家女性たちの意識と生活経験が今日の同地におけるグリーンツーリズム活動を支えている一方で、比較的高い階層の家庭に活動の担い手が偏っているという課題が明らかになった。(3)さらに、ドイツ共和国フライブルク市を訪問し、環境先進地域における持続可能な街づくりや環境政策・都市政策、NGO/NPOの活動と組織についての資料収集と関係者に対するヒヤリングを行った。 (4)くわえて、これまでに実施した奈良県明日香村における住民意識調査の整理と分析を行い、「歴史的環境の保全をめぐる住民意識と地域生活」を主題とする論文を現在作成中である。
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