2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける公的扶助改革とホームレス支援システムに関する研究
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17730336
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
嵯峨 嘉子 大阪府立大学, 人間社会学部, 講師 (30340938)
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Keywords | ドイツ社会扶助 / ホームレス / SGB II / SGBXII / 公的扶助 / 就労支援 |
Research Abstract |
本研究は、2003年以降のドイツにおける公的扶助改革の概要と問題点、具体的には、従来実施されていた稼働能力を有する者に対する所得保障および就労支援がどのように変化するのか、とりわけさまざまな生活課題を抱えるホームレス状態にある者に着目し、これらの改革がホームレス支援システムに与える影響について詳細な分析を行うものである。 今年度は、法改正以後の状況について現地ヒアリングおよび文献研究を行なった。あわせて日本の生活保護受給層と自立支援プログラムの実施状況についても整理を行なった。 SGBHあるいはSGBXIIについては、2005年実施以後も相次ぐ改正がなされている。現地ヒアリング調査によって、法改正による問題点を確認した。最大の問題点は、SGBIIあるいはSGBXIIの区分が稼働能力の有無、稼働状況の有無によってなされているために、同じホームレス状態であっても、その時点の状況によって異なる給付の対象となってしまうということである。その結果、給付を管轄する主体も異なることによって、これまで「一つの手からの援助」を目的に統一的な援助を担ってきた専門部署が複数にわかれてしまうという状況を生んでいる。ヒアリングをした自治体では、法律上は複数の実施機関が担当することになるが、自治体独自の運用として、従来その役割を担ってきた社会事務所が一括して担うことを選択している。そうすることにより、これまでの経験・実績の継続を回り、当事者が複数の実施機関間でたらい回しにされ、支援が後手になって七まわないような体制が可能となっている。 さらに、ホームレス支援の現状、制裁等の影響等について検討を重ねる。
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