2005 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカにおける福祉事務所の民営化に関する実証的研究
Project/Area Number |
17730337
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
木下 武徳 北星学園大学, 社会福祉学部, 講師 (20382468)
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Keywords | アメリカ / 福祉事務所 / 民営化 / 委託契約 |
Research Abstract |
本年度の主な研究実績としては、次の二点が挙げられる。 第一に、福祉改革につながる背景として、通史的に民間団体への公的補助金がどのように拡大してきたのかを、収集した資料を精査し、まとめている。通史的に民営化がどのように進んできたのかを見ると、社会問題に対応するために政府の役割を拡大するが、組織として対応できず、民間団体に委託契約をする形で民間補助を増大させた。ただし、その増大に対応してアカウンタビリティが重視され民間団体を増してきた。続く、レーガン政権は福祉削減したが、その福祉削減に対応するために財政的観点からも委託契約が進められた。つまり政府の拡大・縮小という正反対の政策を進めるときに、双方とも委託契約を進めてきたことが分ってきた。 第二に、1996年の福祉事務所の民間化の現状を把握するために、ロサンゼルスとニューヨークでインタビュー調査を実施した。まず、ロサンゼルスではケースマネジメントをカウンティの福祉事務所の中でケースマネジメントを受託しているマキシマスに訪問し、効率的な運営のために実施している成果主義賃金やその公表、ミスを生まないための独自監査システムなどの取り組みがあることなどが分った。ロサンゼルスについてはその概要をまとめ、学会発表を行った。次に、ニューヨークでは、福祉事務所そのものには先方の都合で訪問できなかったが、福祉改革にともなって現金給付以外の関連する福祉施策が注目されるようになり、関連して市ホームレスサービス局の方から2日間にわたってニューヨーク市の支援施設の取り組み、委託契約について現地訪問、質疑を行うことができた。その結果、安全確保によるニューヨークの地価高騰のために低所得者の生活が逼迫してきていること、その結果ホームレスになるとシェルターのベッドは確保されているが、実際の利用には指紋の採取等非常に綿密な本人調査、ケース管理がなされ、利用につながらない人が多いことなどが分った。なお、時間的・予算的制約からウィスコンシン州では現地調査ができなかった。
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