2006 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦以前の仙台基督教育児院史にみる施設養護と地域の関わり
Project/Area Number |
17730352
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Research Institution | Shokei Women's Junior College |
Principal Investigator |
田澤 薫 尚絅学院大学女子短期大学部, その他の部局, 助教授 (70296200)
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Keywords | 児童福祉史 / 社会事業史 / 仙台基督教育児院 / 社会福祉関係 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に沿って以下のように研究を行った。今年度は、特に院児が通学していた学校を軸として、育児院を取り巻く人脈の整理を試みた。 研究作業1:育児院所蔵資料からの収集と整理 育児院所蔵資料の訪問記録・寄付記録・往信録から、地域の個人・団体と育児院との関わりを整理した。あわせて児童の地域への就職斡旋の状況と、地域商店からの物品購入状況を調査した。 研究作業2:元院児・旧職員への聞き取り 地域との関連について聞き取りし、記録を『仙台基督教育児院聞き取り記録 2006年』としてまとめた。ことに、元院児の聞き取りから育児院で暮らす子どもの目が捉えた地域との関連について知見を得た。 研究作業3:郷土資料等から関連資料の収集 行政関連の資料等から、教育の側面から地域の育児院への関わりの資料を収集した。 検討と成果発表:中間成果を、日本教育学会(2006年8月、東北大学「.「明治後期から昭和前期における施設養護児童の進学をめぐる一考察-仙台基督教育児院を手がかりとして-」)、仙台高等教育ネットワーク「講座仙台学」(2006年10月、仙台市「第二次大戦以前のわが国における育児院の子どもたちと小学校-学都仙台、公教育の光と影-」)で報告した。また、別掲の通り『仙台キリスト教育児院100年史』の分担部分を執筆した。 仙台基督教育児院が社会的評価を高め。「学都」と称される仙台での信頼度を上げた契機は、内務省の補助金の対象になったことがあげられる。開設後まだ間もない育児院が日本の代表的な優良施設と認められたのは、育児院の教育への取組をもってであった。そこで、教育を軸として育児院をめぐる協力者の人脈をたどり、施設を地域が支援する構造の一端を明らかにした。第二次大戦直後は貧困児童の教育支援策が相次いだ時期でもあり、育児院の教育実践が、行政のみならず一般市民の育児院支援への糸口となった実例が示された。
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Research Products
(1 results)