2005 Fiscal Year Annual Research Report
小規模多機能サービス拠点における記録様式の開発-実践にいかせる地域ケアツール-
Project/Area Number |
17730358
|
Research Institution | Nishinippon Junior College |
Principal Investigator |
黒木 邦弘 西日本短期大学, 社会福祉学科, 助教授 (60369832)
|
Keywords | 宅老所 / 小規模多機能サービス / 記録 / 地域ケア |
Research Abstract |
本研究では、小規模多機能ケアのモデルとして宅老所を取り上げた。モデルとなった宅老所(以下、モデル事例)は、小規模の通所介護事業に加えて、宿泊や居住サービスを提供している。このモデル事例の職員と通い、泊まり、住むといったサービスの特徴について検討を重ね、小規模多機能ケア施設に実務的に必要な記録項目を整理した。特に、介護記録では次の三つの項目が援助者の思考を促す観点から重要であることがわかった。一つは、認知症を抱える「当事者」の視点から暮らしぶりを捉えること(当事者の欄)。二つ目は、認知症になった本人を時に支え、直接介護を担っている「家族」を支援する視点があげられる(家族の欄)。三つ目は、認知症になった本人に関わる当該小規模多機能ケア施設以外の専門職の立場や近隣住民の立場から関わる「地域の社会資源」の視点があげられる(地域の欄)。これらの視点を踏まえた介護記録を試行する中で、高齢者一人ひとりの様子を日々ミーティングで確認し、それを個別支援担当者が週間要約としてまとめる。週間要約を踏まえて月間のモニタリングを行い、対応を協議することが重要であるとわかった。この点は、小規模多機能ケアに取り組む他の事業所との協議においても高く評価され、研究成果に期待する意見も多く寄せられた。今後は、当事者、家族、地域の視点にたった記録とミーティングの関係を分析していきたいと考えている。
|