2007 Fiscal Year Annual Research Report
組織のリスク管理における情動体験共有の効果に関する実験的研究
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17730368
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
増地 あゆみ Hokkai-Gakuen University, 経営学部, 助教授 (00322777)
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Keywords | リスク管理 / 情動喚起 / 生理的指標 |
Research Abstract |
本年度は、他者のリスク体験に関する情報がもたらす情動喚起の度合いと意思決定への影響を調べる実験を行った。情動喚起の度合いの指標としては、生体情報測定装置によって測定された皮膚電気活動の値を用いた。本実験にはH大学の学生11名が参加した。実験課題は、「アルバイト先で電気ストーブを全社的に購入するにあたり、機種選定の作業に加わること」で、2種類のストーブ(A・B)の性能や事故情報を吟味したうえで、個人としての選択を示した。この意思決定に先立ち、事故によって負ったやけどの画像2種類と事故で発生した火災の画像が呈示された。画像と意思決定課題はすべてパソコン画面で呈示された。画像に続いて決定課題が呈示され、被験者は最後にどちらかのストーブを選ぶか回答を求められた。実験では、3枚の画像の呈示順序によって3条件が設定され、被験者はランダムに各条件に割り当てられた。実験開始と同時に被験者の左手に電極が装着され、課題終了までの間、皮膚コンダクタンス水準(SCL)と心拍数が測定された。11名の被験者のうち、測定中にトラブルがあった2名は分析対象から除外したため、各条件3名ずつとなった。決定課題では、事故情報の数はストーブAよりもストーブBの方が多く報告されているが、ストーブAの事故情報にはやけど又は火災の画像が添付されていた。その結果、9名のうち7名がストーブBを選択した。その理由については「A社のストーブは事故が深刻」、「A社の方が危険だから」などの回答が得られた。しかし、事故の画像を呈示した際、SCLおよび心拍数に大きな変化が示されたのは1名のみであった。今回の画像は多くの被験者において明確な生理的変化を引き起こさなかったが、リスク情報に画像が伴うことで事故の深刻さ、危険度の評価が高まり、リスクを伴う意思決定に影響を及ぼすことが示された。
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Research Products
(1 results)