2005 Fiscal Year Annual Research Report
計画錯誤の生起プロセスと心理的帰結に関する社会心理学的研究
Project/Area Number |
17730370
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
藤島 喜嗣 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (80349125)
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Keywords | 計画錯誤 / 将来予測 / 課題遂行 / 感情状態 / 動機づけ / 自己関連情報 / 社会心理学 |
Research Abstract |
平成17年度は、計画錯誤の生起プロセスに関して、将来予測時の感情状態の影響と課題遂行に対する動機づけの影響を検討した。感情状態に関しては、肯定的感情状態の方が、否定的感情状態のときよりも楽観的な将来予測をし、その結果、計画錯誤が大きくなると仮説を立てた。課題遂行に対する動機づけに関しては、動機づけが高い方が、低い場合よりも楽観的な将来予測を行い、計画錯誤が大きくなると仮説を立てた。計画錯誤の心理的帰結に関しては、計画錯誤の大きさが課題遂行それ自体には影響しないが、課題遂行後の感情状態に負の影響を及ぼすと予測した。 研究1では、テスト勉強場面を用い、社会的出来事の想起による感情操作を行って、将来予測と実際の遂行ならびにその後の感情状態に及ぼす影響を検討した。その結果、全般的にテスト勉強時間に関する予測は実際よりも楽観的となり、計画錯誤が認められた。しかし、感情操作ならびに自然発生的な感情状態の影響は認められなかった。実験参加者は全般的に、否定的な感情状態にあったがその状態においても計画錯誤は頑健にみとめられた。この知見と藤島(2002)の知見をあわせると、計画錯誤の生起には、理想的シナリオ作成時における肯定的自己関連情報へのアクセスが基底にあると考えられる。また、計画錯誤のサイズと課題遂行後の感情状態との関連を検討したが、関連は認められなかった。さらに研究2を実施した。研究2では、テスト勉強場面を用い、授業単位修得への動機づけの個人差が、将来予測と実際の遂行並びにその後の感情状態に及ぼす影響を検討した。また、将来予測について想定される過程の各段階と対応させた従属測定を行い、動機づけが各段階におよぼす影響について検討した。
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