2006 Fiscal Year Annual Research Report
算数・数学の学習を支える言語的・非言語的表象の発達
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17730376
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺尾 敦 北海道大学, 大学院文学研究科, 博士研究員 (40374714)
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Keywords | 教育心理学 / 数学教育 / 数表象 / 計算 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は,算数・数学課題の解決や,算数・数学的概念の理解に,言語的表象と非言語的表象がいかに関わっているかを明らかにすることである. 昨年度に行った中学生の事例研究において,正の数・負の数の加法・減法における困難の一因が,非言語的表象である心的数直線の未成熟にあることが示唆された.そこで,今年度は,正の数・負の数の計算課題に,言語的表象と非言語的表象の両方が関わっているという証拠を得るための実験を行った.正の数・負の数の加法・減法を実行中の脳活動をfMRIで測定すれば,いわゆる言語野の活動と,心的数直線に関与しているとされる頭頂間溝や上頭頂小葉の活動が見られるのではないかと考えた.この計算課題を正しく実行できる大学生のサンプルにおいてこうした脳活動が認められれば,少なくとも最終的には,言語的表象と非言語的表象の両方がこの課題の解決に関わっているといえる. 計算課題とあわせて,数の大小比較を遂行中の脳活動もfMRIで測定した.数の大小判断には非言語的表象である数的数直線が関与するので,このときの脳活動と比較することで,計算課題の遂行において非言語的表象がどの程度使用されるのかを明らかにすることができると考えられる. 現在,実験が終了し,データ解析を行っている.今年度は実験の実施がすべてで,成果公表ができなかった.来年度は実験の結果を発表する予定である.
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