2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730379
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
清水 由紀 お茶の水女子大学, 開発途上国女子教育協力センター, 講師 (30377006)
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Keywords | 幼児 / 対人認知 / 特性推論 / 心の理論 / 児童 / パーソナリティ特性 |
Research Abstract |
1年目である平成17年度は、幼児・児童と成人における性格特性の推論の発達過程について、2つの実験により検討を行った。 (1)性格特性の理解はどのように発達するのか? 方法:3歳〜6歳と成人(計約80名)を対象とした実験研究を行った。他者の性格特性(「意地悪な人」など)をその人の行動や動機から推論する能力が、どのように発達するのかを調べた。 幼児に関しては、幼稚園において、紙芝居を使用した個別面接を行った。成人に関しては質問紙によって調べた。 結果:3歳でも、行動から特性を推論することができる。しかし動機から特性を推論するのは、幼児にとっては難しい。ただし年長クラス(5・6歳)の子どもは、動機と特性の関係に気づき始めており、教示の仕方によっては(e.g.,動機を2度言う、動機を最後に示す、アメをいくつ友人にあげるかなど量的に表せる選択肢にする)、動機から特性を推論できることが示された。 (2)他者の性格特性の理解の発達は、心の理論とどのように関連するのか?(予備実験) 方法:4歳児3名を対象として、予備実験を行った。心の理論課題として典型的な課題である「誤信念課題」を実施し、子どもの持つ心の理論のレベルを調べた。そしてそのレベルによって、性格特性の理解能力がどのように異なるのかを調べた。 結果:4歳はちょうど誤信念課題にパスし始める時期である。被験者がまだ少ないため、結果の傾向は明らかではないが、手続き上の改善点などが明らかになった。具体的には、スマーティ課題、マクシ課題、スポンジの岩課題など、誤信念課題の種類によっては同一の子どもでも回答の仕方が異なるため、複数の誤信念課題を行う必要があることが示された。 今後は、手続きを改善した上で、4歳〜小2の全学年(計約60名)を対象として実験を行う予定である。
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