2005 Fiscal Year Annual Research Report
小中学生の問題行動改善に向けた妬み感情マネジメント・プログラムの開発
Project/Area Number |
17730388
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
沢田 匡人 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (40383450)
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Keywords | 妬み感情 / 中学生 / 対処 / 問題行動 / 社会的不適応 / 妄想的観念 / ストレス / 学校生活満足度 |
Research Abstract |
本研究の目的は,小中学生を対象とした妬み感情マネジメント・プログラムを開発し,その適用を通じて,感情のコントロール不足がその一因となっている様々な問題行動の改善を目指すことである。 平成17年度は,プログラム開発の基礎的な研究知見を得るために,中学生の妬み感情と問題行動との関連を確認する研究を行った。まず,中学生における学校生活満足度とストレス状況に対する対処の柔軟性との関連を確認するための質問紙調査を実施した。茨城県の公立中学校の生徒を対象としたこの調査の結果,いじめの被害や周囲から認められてないなどの不適応状態にある生徒は,妬み状況で様々な対処を選択できていないのに対し,適応状態にある生徒は選択できる対処のレパートリーが豊富であることが示唆された。この研究成果は,日本心理学会第69回大会におけるワークショップ109「社会的感情と不適応の心理学」の話題提供において発表された。 次に,同じく中学生を対象として,健常な生徒が抱く妄想的観念と妬みやすさ(妬み傾向)および社会的不適応行動との関連を見た。その結果,妄想的観念を抱きやすい生徒は,妬み感情も喚起されやすいことや,社会的不適応の中でも,ひきこもり傾向などを含む非社会性が妄想的観念と結びついていることが明らかとなった。この研究成果は,日本心理学会第69回大会におけるワークショップ47「統合失調症の精神症状に関するアナログ研究の展開」の話題提供,ならびに日本発達心理学会第17回大会におけるポスター発表「中学生の妬み傾向と妄想的観念」においてそれぞれ発表された。
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