2006 Fiscal Year Annual Research Report
小中学生の問題行動改善に向けた妬み感情マネジメント・プログラムの開発
Project/Area Number |
17730388
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
沢田 匡人 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (40383450)
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Keywords | 妬み感情 / 中学生 / 小学生 / 攻撃性 / 原因帰属 / いじめ / シャーデンフロイデ / 依存性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小中学生を対象とした妬み感情マネジメント・プログラムを開発し、その適用を通じて、感情のコントロール不足がその一因となっている様々な問題行動の改善を目指すことである。 平成18年度は、プログラム開発の基礎的な研究知見を得るため、とりわけ認知行動療法的アプローチの開発に資するために、小学生を対象とした大規模な調査を実施した。具体的には、小学3年生から6年生までの児童を対象に、妬み感情喚起場面と当該場面における認知(原因帰属)、感情、行動(対処方略の選択)の特徴を明確にしながら、いじめに関連した攻撃性(関係性攻撃など)との関連を探索的に検討した。この研究の成果は、平成19年度に開催される日本心理学会にて発表予定である。中学生については、学級集団での適応状態の違いによって妬み感情の対処様式に違いがあるかという観点から検討を行い、学級の仲間から認められていないと感じていたり、いじめの被害を受けていたりする可能性の高い生徒は、妬み感情の中でも比較的ネガティブな色彩の薄い感情(欠乏感情)の対処の柔軟性に欠けることが示唆された。この成果は、次年度開催予定の日本教育心理学会にて発表予定である。 なお、妬み感情との関連性が示唆される概念についての研究もいくつか実施した。たとえば、他人の不幸を喜ぶ感情(シャーデンフロイデ)は、妬みやすい者に経験されやすいことが指摘されているが、本邦においては実証研究に乏しい。そこで、当該プログラム開発に資するためにも、このシャーデンフロイデの特徴についても調査研究を行った。この成果は、日本心理学会第70回大会におけるワークショップ「社会的感情と自我脅威」において発表され、次年度もしかるべき学術大会にて発表予定である。加えて、妬み感情の関連概念として、依存性に関する研究も実施し、その構造の性差を明らかにした。この成果は、日本心理学会第70回大会において発表されている。
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