2005 Fiscal Year Annual Research Report
被害観念維持のメカニズムの解明と心理学的介入効果の検討
Project/Area Number |
17730407
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
森本 幸子 埼玉工業大学, 人間社会学部, 講師 (10398539)
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Keywords | 被害観念 / 認知バイアス / 対処方略 |
Research Abstract |
申請者は,認知バイアスの被害観念維持への関与を質問紙にて検討(第1段階),認知バイアスの被害観念維持への関与を実験にて検討(第2段階),認知バイアスの修正と介入法の有効性の検討(第3段階)を通して被害観念維持のメカニズムを解明し被害観念の予防・介入法を探る. 本年度は第1段階と第2段階の予備実験を実施した. 第1段階:認知バイアスの被害観念維持への関与の検討(質問紙調査) 健常者81名(男性58名,女性23名,平均年齢19.25±.92歳)を対象に,被害観念を持続的に持つ人の対処方略について調べ,どの対処が被害観念の維持に関与しているのかに関する検討を行った.質問紙調査を2回にわたって実施し,第1回調査時(T1)と第2回調査時(T2)における被害観念の得点により,被験者を,低・低群(両時点で被害観念得点が平均点以下),低・高群(被害観念得点がT1で平均点より低く,T2で平均点よりも高い),高・低群(被害観念の得点がT1で平均点よりも高く,T2で平均点よりも低い),高・高群(両時点で被害観念得点が平均点より高い)の4群に分けた.群間で被害観念へ対処方法を比較したところ,"その考えの浮かびそうな状況を避けた"(状況回避)や"その考えを否定するような情報を集めた"(否定情報の収集)においては,低・低群よりも低・高群の得点が有意に高いことがわかった.以上より,被害観念を思い浮かべそうな状況をさけたり,被害観念が間違っているという情報を集めようとするような行動をとる人は,その後に被害観念を思い浮かべる頻度が増加しており,これらが被害観念の維持に関与している可能性が示唆された. 第2段階:認知バイアスの被害観念維持への関与の検討(実験) 第2段階では,パーソナルコンピューターによって認知バイアスと被害観念に関する刺激を呈示した際の被験者の心拍数等の生理学的指標を測定する予定である.生理学的指標測定装置の設定のために,健常者5名を対象に予備的に実験を行った.
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