2007 Fiscal Year Annual Research Report
被害観念維持のメカニズムの解明と心理学的介入効果の検討
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17730407
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
森本 幸子 Sendai Shirayuri Women's College, 人間学部, 講師 (10398539)
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Keywords | 被害観念 / 対処方略の柔軟性 / 認知バイアス / 認知バイアスの修正 |
Research Abstract |
申請者は,認知バイアスの被害観念維持への関与を質問紙にて検討(第1段階),認知バイアスの被害観念維持への関与を実験にて検討(第2段階),認知バイアスの修正と介入法の検討(第3段階)を通して被害観念維持のメカニズムを解明し被害観念の予防・介入法を探る。 本年度は第2段階と第3段階を実施した。 第2段階:認知バイアスの被害観念維持への関与の検討 これまでに大学生10名(男性8名,女性2名,平均年齢18.4±.70歳)を対象に,パーソナルコンピューターに怒り,喜び,恐怖などの6種類の基本表情を提示し表情を認識するまでの反応時間を測定し,被害観念を持つ群れでは,恐怖表情において認知するまでの反応時間に遅れがみられたことを明らかにしたが,今年度は,新たな課題(視覚探索課題)を用いて表情認知におけるバイアスと被害観念との関連を検討した。 視覚探索課題とは,同一人物の同一表情中に異表情を1表情提示し,その異表情を同定する課題である。女子大学生30名(平均年齢18.7±.76歳)を対象に実験を行った結果,被害観念の有無で課題の正答数に違いは認められなかったものの,被害観念を持つ群れでは,真顔表情中の喜び表情の同定に反応の遅延が見られることがわかった。 第3段階:認知バイアスの修正と介入法の検討 第3段階では,被害観念への介入方法について検討を行った。大学生94名(男性88名,女性6名,平均年齢20.1±.99歳)を対象に,発想の豊かさや多さ,多面性などを表す創造的思考力と被害観念への対処方略との関連を調査した。結果,創造的思考力高得点者ほど,被害観念に対してポジティブな対処方略をもちいていることがわかった。本研究より,被害観念への対処方略には,様々な角度から多面的に物事を捉える能力が重要であることがわかった。よって,被害観念に対する介入方法についても,物事を様々な角度から捉える練習を行うことで効果的な介入を行うことが出来ることが示唆された。
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Research Products
(1 results)