2006 Fiscal Year Annual Research Report
老年期における心身諸機能の個人差に関する臨床心理学的研究
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17730409
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
水上 喜美子 仁愛大学, 人間学部, 助手 (00387408)
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Keywords | 老いの自覚 / 個人差 / エイジング |
Research Abstract |
平成18年度は、2つのことを中心に実施した。 1つめは、個人差を客観的に評価するために、心理的、生理的指標を用いた測定を実施した。心理的評価には、老いの自覚尺度、うつスケール、CANTAB(神経心理学的検査)などを実施した。さらに、生理学的評価には、血圧、心拍、脳の形態的状態の測定(MRI)をおこなった。調査対象者は、健康な高齢者37名(男性21名、女性16名)で、平均年齢64.43歳(SD=4.54歳)であった。このうち、さらに同意が得られた17名の対象者(男性8名、女性9名)については、脳波記録とWAIS-IIIを実施した。現在、これらの結果を分析し、まとめている途中である。 2つめは、高齢者の老いの自覚について、精神テンポと主観的時間との関連から明らかにした。まず、高齢者の時間判断やその人固有のテンポが、若者と比べて相違が認められるのかということについて検討した。次に、時間判断やその人固有のテンポなどの個人差が老いの自覚にどのように関連しているのかについて分析をした。この結果、加齢に伴い、主観的時間が加速していくことが認められたが、精神テンポにおける若年者との相違は認められなかった。また、老いの自覚と時間判断との間には関係は認められなかったが、精神テンポ(自分が心地よいと感じるテンポ)との間には関係が認められた。以上のことより、老いの自覚という意識は、加齢による影響よりも、本人のパーソナリティというような側面の影響を受けやすいことが推察された。この結果については、現在、論文としてまとめている。
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