Research Abstract |
1.大学生の社会的スキル見直しプロセスと,性・学年の関連の検討 大学生を対象に,性別,学年,調査時期により,見直しの対象となる社会的スキルの側面が異なるかについて検討した。見直しの対象となる社会的スキルの側面として,関係開始スキル,関係調整スキル,内的葛藤処理スキルを設定した。性別に関しては,男性は女性にくらべ,関係開始スキルの改善を望む者が多く,内的葛藤処理スキルの改善を望む者が少ないことがみいだされた。学年に関して,1年生は2年生にくらべ,関係開始スキルの改善を望む者が少なく,内的葛藤処理スキルの改善を望む者が多いことがしめされた。調査時期に関しては,4月時にくらべ9月時において,内的葛藤処理スキルの改善を望む者が多いことがしめされた。以上のことより,社会的スキルの見直しの対象となる側面は,性別,学年,調査時期などによって変化することが確認され,縦断的かつ個性記述的な社会的スキル見直しプロセスの検討の重要性が示唆された。 2.大学生の社会的スキル見直し指針に関する検討 大学生が大学在学期間および大学卒業後の対人関係の変化およびそれから求められることを,どのようにとらえているかについて調査し,大学生の社会的スキルの見直し指針の内容を検討した。また,どのような社会的スキルの見直し指針を持つのかは,社会的スキル獲得動機などの個人内特性と関連すると考えられる。そのため,社会的スキル獲得動機および社会的スキル獲得動機と関連する性格特性と,社会的スキルの見直し指針の関係についても検討した。その結果,「友人関係が広く浅くなる変化に対応する」という社会的スキル見直し指針を持つ者において,社会的スキル獲得動機が高いなどの、社会的スキル見直し指針と個人内特性との関連がみいだされた。以上より,社会的スキル見直しプロセスを検討する際の見直し指針および個人内特性の検討の重要性が示唆された。
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