2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730417
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
藤原 裕弥 東亜大学, 総合人間・文化学部, 講師 (20368822)
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Keywords | 不安 / 情報処理 / 注意 / 視線追跡 / 解釈 |
Research Abstract |
不安時に認められる情報処理の歪みのうち、特に視覚的注意処理を詳細に検討することを目的とした。これまでの研究では、注意処理は反応時間などによって間接的に評価されてきたが、本研究では視点追跡装置を用い、直接的な評価を試みた。特に、視線の軌跡の長さ、軌跡の回数、注視の停留時間、注視頻度などを指標とすることで、不安における注意処理の時系列的な処理を試みる。そのために、本年度は視線追跡装置の作動プログラムと、得られた視線データから視線に関する指標を算出する計算プログラムの作成を重点的に行った。 また、注意処理が不安の維持・形成に及ぼす影響を検討するために、注意の歪みが解釈の歪みに及ぼす影響について検討を行った。これまで、不安時に特異的な解釈の歪みがどのように生じているのか十分検討されていなかった。そこで本研究では、注意の歪みによって選択的に入力された脅威情報によつて、不安ネットワークが活性化される結果、活性化された表象の利用可能性が高まり、その結果中性的な情報に対しての解釈が脅威的にゆがめられてしまうのではないかと考えた。これは先行する感情価をもった刺激によって、後に呈示される中性的な情報の評価が影響を受ける感情プライミング効果と同様の現象が起きていることになる。そこで、高特性不安者と低特性不安者に対して、脅威情報と中性情報を同時に呈示するdot-probe課題を行い、その後に中性刺激を呈示し、評価させた。高特性不安者は脅威情報に対して注意を向けやすいことが指摘されているため、dot-probe課題において脅威情報に対して選択的な注意を示し、その後呈示される中性情報が脅威的に解釈されると考えた。実験の結果、高特性不安者、低特性不安者どちらにおいても脅威情報に対する注意は生じていなかった。また、その後呈示された中性刺激も、脅威的な評価はされていなかった。今後は、本年度セットアップを行った視点追跡装置を用いて注意を詳細に評価し、注意の歪みが解釈の歪みに及ぼす影響についても検討を行う。 また、不安における情報処理の歪みを概括し、展望論文として行動療法研究に投稿中である。
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Research Products
(1 results)