2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730417
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
藤原 裕弥 University of East Asia, 人間科学部, 講師 (20368822)
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Keywords | 不安 / 注意 / 注意コントロール / exposure / distraction |
Research Abstract |
対人不安者の不安低減を目的とした治療技法の一つにdistraction法がある。しかし、distraction法では、脅威対象から得られる不安の解決につながる可能性のある情報の入力をも阻害する可能性があるため、短期的な不安改善は得られても、不安に関する認知的側面などの根本的解決につながりにくい。一方、脅威情報の積極的入力を促し、脅威情報に対する再学習を目的とするexposure法の有効性については否定的な報告も多い(Wells, 1990)。これは、対人不安が他者情報を自己の否定的側面と結びつけることによって生じるためであると考えられる(Clark & Wells,1995)。そのため、他者情報を入力しつつも、自己の否定的側面との関連づけを阻害することによって不安の認知的側面を改善できる可能性があると考えた。 そこで本研究では、高対人不安者と低対人不安者に対して、スピーチ課題を行わせ、その課題評定者の行動をビデオフィードバックし、そのフィードバック時に3種類の教示を行い、注意の方向性と不安状態の変化の関係性について検討した。教示によって設定された3条件の内容を次に示す:(1)外的注意条件(distraction) ;ビデオ視聴時にビープ音が呈示され、その音の数を数えるよう求めた、(2)自己注目条件(exposure);評価者の状況から自己のスピーチの出来を評価するよう求めた、(3)他者注目条件;評価者のしぐさや行動の内容は評価せず、その種類と数をカウントするよう求めた。 実験の結果、外的注意条件において参加者は、外部情報(ビープ音)に注意を向け、評価者への注意を低下させたことが示された。一方、自己注目条件、および他者注目条件では、評価者への注意は外的注意条件に比べて高いことが示された。このように、教示による注意コントロールは成功したものの、状態不安、およびスピーチに関する自己評価について、条件間で差は認められなかった。
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Research Products
(3 results)