2006 Fiscal Year Annual Research Report
ひきこもり状態にある人の家族に対する認知行動療法の効果に関する研究
Project/Area Number |
17730419
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
境 泉洋 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (90399220)
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Keywords | ひきこもり状態 / 受療行動 / 家族 / 認知行動療法 |
Research Abstract |
本年度においては,ひきこもり状態にある人(以下,本人)を対象に個別のインタビュー調査と精神疾患の有無に関する自記式調査を行った.また,全国36都道府県で開催されたひきこもり親の会において調査を実施するとともに,鹿児島県においてひきこもり状態にある人の家族を対象とした認知行動療法プログラムを行った. 本人を対象とした調査では,ひきこもり状態が始まってから現在に至るまでの経過について時系列で聞き取りを行った.精神疾患のスクリーニングと社会不安の程度について調査を行った.ひきこもり状態の経過において,本人の主観的評価としては時間の経過とともに改善傾向にあるが,その改善にいたるまでの期間の長さに違いのあることが明らかにされた. 家族を対象とした調査研究においては,本人,及びその家族(以下,家族)の相談機関の利用意欲と本人が示す問題行動の程度について回答を求めた.540家族から得られた回答を解析した結果,前年同様本人よりも家族の方が相談機関の利用に意欲的であることが明らかにされた.また,相談機関の利用している本人は,比較的問題行動が少ないことが明らかにされた.さらに,相談機関を利用する準備をしている本人は,問題行動を多く示す傾向が明らかにされた. これらのことは,相談機関を利用することで本人の状態が安定することを示唆するものと考えられる.また,相談機関の利用を準備している段階は,本人も援助要請が高まっていると考えられ,その背景に状況の悪化があるために問題行動を多く示す傾向が認められたものと考えられる. 家族を対象とした認知行動療法プログラムは,延べ14名を対象に平成18年10月〜12月にかけて5回のグループ介入が行われた.また,平成19年3月にフォローアップを行った.その結果,家族の精神的健康にはある程度改善が認められた. 今後,本年度の調査によって得られたデータを分析し,ひきこもり状態のメカニズムの解明と介入の具体的方策について考察を加えていく.
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Research Products
(4 results)