2005 Fiscal Year Annual Research Report
認知的バイアス発現に関わる個人差の検討とバイアス解消に向けた教育ゲームの開発
Project/Area Number |
17730422
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
眞嶋 良全 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (50344536)
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Keywords | 認知的バイアス / 個人差 / 脱バイアス / 教育ゲーム |
Research Abstract |
今年度は,次年度以降の研究の基礎固めとして,認知的バイアスに関する過去の研究を概観し,認知的バイアスの概念的な分類を試みた.先行研究から得られた知見に基づくと,認知的バイアスは,(1)知識を持つことによって解消されることが期待されるもの,(2)課題自体の表現系を改善することによって解消されることが期待されるもの,(3)課題に取り組む際の方略を改善することによって解消されることが期待されるもの,という3種類に分類が可能であると考えられた.例えば,(1)に該当するものとしては,確率に対する誤った認識から生じる連言錯誤,小数の法則,賭博者の錯誤などが考えられる.また(2)に該当するものとしては,課題の表現形態を変更することでパフォーマンスが改善される錯誤相関やフレーミング効果などが上げられる.さらに(3)に該当するものとしては,主として別の可能性を考えるようにさせることによって改善される,後知恵バイアスやステレオタイプに基づいた判断などが挙げられる.3つの分類は排他的なものではなく,複数の分類にまたがる中間層的な認知的バイアスも存在すると考えられる. ここで,これら認知的バイアスを引き起こす課題に対するパフォーマンスが,上記の3つの分類に沿ったカテゴリー化が可能であるかを確認する必要がある.この点については,これらの課題のパフォーマンスに関する個人間および個人内変動を分析することによって検討した.この分析は現在進行中であるが,過去の研究において,これらの課題のパフォーマンスに影響すると考えられてきた思考傾向尺度(例えば,批判的思考態度尺度(平山・楠見,2004など))と,課題のパフォーマンスとの間に関連が見られず,その理由に関する検討を現在行っている.
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