2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730428
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
泉 明宏 国立精神・神経センター, 神経研究所モデル動物開発部, 室長 (20346068)
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Keywords | ニホンザル / 性周期 / 認知 / 顔 |
Research Abstract |
性の認知は、ヒトを含めた動物の繁殖成功において重要である。ヒトに系統的に近縁なサルは、優れた視覚を持っており、体サイズ・顔・性器などの形態的特徴において、種によって様々な程度の性的二型を示す。このことから、サルがヒト同様に視覚的手がかりを元に性弁別をおこない、他個体の形態的特徴にもとづいた配偶者の選択をおこなっている可能性が示唆される。また、ヒトやサルの性周期と性ホルモンレベルに関連があることは多くの研究が示しているが、性ホルモンが性認知に果たす役割については充分に解明されていない。本研究では、マカクザルを対象として、視覚的に呈示された同種他個体の性の認知について検討する。性の弁別と選好性の特性について検討し、それらに対する性周期および性ホルモンの影響について明らかにする。 これまでに、2頭のニホンザルを対象として性弁別課題を訓練した。装置として、反応記録および刺激呈示用のタッチパネル付モニタを装着したサル用実験箱を用いた。モニタ中央にサルの写真が呈示され、その刺激個体がオスの場合は左、メスの場合には右のキーを押した場合に正解とした。88枚の写真で弁別訓練をおこなった後に、般化テストに移行した。般化テストにおいては新奇個体の写真を呈示し、性弁別が獲得されているか検証した。結果、刺激個体がオトナ(7歳以上)の場合では性カテゴリにもとづいた弁別が可能であったが、コドモ(3-6歳)の場合には難しいようであった。続いて、刺激個体の体の一部を隠蔽した刺激を用いて同様の課題をおこなったところ、オスの場合は顔と下腹部、メスの場合は顔と胸部が弁別手がかりとなっていることが示された。これらの結果から、ニホンザルは視覚的に同種他個体の性弁別が可能であること、そして、性弁別においては性的二型を示す部位が手がかりとなっていることが示唆された。
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