2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730436
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
池渕 万季 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 研究員 (20398994)
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Keywords | 社会性 / 扁桃核 / 鳥類 / キンカチョウ / 発達 / 解剖 |
Research Abstract |
ヒトはより進化した社会性を持つが、この社会行動を行う上で重要な脳領域は扁桃核である。多くの脳領域がごく少数の領域としか直接の神経連絡を持たないのに対し、扁桃核は海馬や嗅覚・聴覚・視覚など多くの領域と直接神経連絡があることがマウスなどで解剖学的に示されている。そこで、ヒトと同様に高い社会性を持ち、実験的に社会的環境を制御しやすい鳥類を用い、社会性の発達・社会的刺激の認知場面における扁桃核の可塑性と社会行動への関与について検討することを目的し、実験を行っている。 本年度は、社会行動の発達と扁桃核の関与を探るために、ヒナを用いて、(1)発達過程、特に社会行動の発達について詳細に記述、(2)ヒナの社会行動が変化する日齢のヒナの脳を免疫組織化学的手法・解剖学的手法を用いて、脳の活性部位の特定と主に視聴覚領域の活性状態の変化の観察を試みた。結果、社会行動の変化する日齢と脳構造の発達の関連性を期待させる標本が得られたことから、現在は更にサンプル数を増やしてデータの信頼性を増強している最中である。 これと並行して、社会行動の際、多様すると考えられる視聴覚複合刺激を情報処理している最中の扁桃核における活動電位を電気生理学的に記録するための実験準備(装置のセットアップ)をすすめている。現在は、本年度の予算で購入したマイクロドライブをより効率的に使用できるように環境を整えているところである。今後はまず純音・フラッシュなどの視聴覚刺激を用いて麻酔下での記録を行う、その後はフリームービング下で記録するための技術開発をめざし、かつ、生物学的に意味のある(生態学的妥当性を持つ)刺激を用いた実験を試みる予定である。
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