2006 Fiscal Year Annual Research Report
異なる感覚モダリティで呈示された情報の知覚処理のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
17730439
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
室井 みや 群馬大学, 教育学部, 講師 (70339240)
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Keywords | 実験系心理学 / 選択的注意 / 感覚モダリティ |
Research Abstract |
聴覚および視覚で呈示された2種類の刺激が,それぞれの処理に互いにどのように影響するかについて検討するための実験を行い、日本心理学会第70回大会(九州大学)で発表した。実験では、聴覚情報を視覚情報の呈示前、同時呈示、呈示後という3種類のタイミングで呈示し、視覚情報を単独で呈示した場合と比較して、視覚情報の明るさの判断に違いが見られるかどうかを検討した。実験参加者はコンピュータ画面上に呈示された視覚刺激の明るさを、視覚刺激のすぐ後に提示される明るさ尺度から選ぶ視覚課題を行いながら、同時に聴覚課題を行うことが求められた。聴覚課題はアルファベットをランダムに音声呈示し、それを追唱するものであった。 その結果、正答率は全体に低く、特に、ターゲットの色が暗い場合に、実際の明るさよりも明るく判断する傾向が見られた。これは、黒色の画面に明るいターゲットが現れたため、背景とのコントラストでターゲットが明るく見えたためと考えられる。 また、同時呈示における誤答率は、それ以外の呈示タイミング、または、聴覚刺激無しの条件に比べて高くなった。これは、ターゲット呈示前、あるいは呈示後に音声を呈示しても明るさ判断と復唱という2種類の課題をどちらもうまくこなすことができたが、同時提示ではそれが難しかったためと考えられる。さらに、聴覚刺激を視覚刺激と同時に呈示した場合に、実際よりもターゲットを暗く判断する割合が低く、実際よりもターゲットを明るく判断する割合が高くなった。この結果は、同時呈示では、聴覚情報の処理の負荷により、黒い背景色のため、視覚刺激が実際よりも明るく見えてしまうという明るさのバイアスを防ぐことが難しかったためと考えられる。
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