2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730443
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Research Institution | The National Institute of Special Education |
Principal Investigator |
玉木 宗久 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 教育支援研究部, 研究員 (00332172)
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Keywords | 自閉症 / アスペルガー / 近赤外線分光法 / 視線理解 |
Research Abstract |
平成18年度は以下のことを実施した. (1)Baron-Cohen, et al.(1995)の課題(視線の方向から他者が何を欲しがっているかを判断する課題)を利用して,高機能の自閉症児(あるいは,アスペルガー障害児)においても視線理解に困難があるかを検討した.小学生の子どもにおいては,視線と同時に矢印を提示すると,矢印の方向のものを選択した.中学生,成人においては,矢印を適切に抑制して,視線の方向にあるものを選択した.また,この課題の通過は,2次の心の理論課題の通過と関係していた.これらのことは,高機能の自閉症児においても視線から心を読むことに困難をもっていること,また,このような心の読み取りの能力は,心の理論課題とともに発達していくことを示唆している. (2)視線シフトの知覚に関連する側頭領域の脳血行動態を近赤外線分光法を用いて検討した.実験1では,イラスト刺激に対する他者の視線シフトの検出が,右側側頭の後方領域の賦活と関連することが示唆された.しかし,実験2で,視線シフトと矢印に対する反応の違いを比較したが,個人差が大きく有意な差は認められなかった.子どもを対象とした実験においても同様の結果が得られた. (3)一般的によく利用されている語流暢課題を利用して,近赤外分光法(near-infrared spectroscopy : NIRS)により測定される脳血行動態の反応特性を調べた.その結果,多くの人は,課題に同期して酸化ヘモグロビンが増加したが,およそ3割の人は課題に同期して酸化ヘモグロビンが低下することが示された.このような近赤外分光法の反応特性を考慮した分析・解釈の枠組みが必要であることが示唆された.
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